赤/黒尾博樹
電信柱にほおずき生って
松ぼっくりも巣に帰る
私は坊やのつっかけ履いて
どこにも口ないポストを探す
二人で一つの絵日記は
でたらめだけを書く約束
横顔だから眼鏡はかけず
開けたら煤だけこぼれ落ちる
途中で切れた階段で
見下ろす一輪車の広場
誰かの息が撫でるのは
昨日の晩の引っかき傷
一度だけ合った七並べ
造花の庭の人形遊び
あの子のセルロイドの腿に
はらはら落ちた雫を見てた
木箱の親子が目指すのは
お空に浮かんだ赤い繭
お願い私も連れてって
押入れの中で眠りたい
投稿者 apollo : 2008年05月03日 13:19
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コメント
挿絵がすごくマッチしているのか、クロオさんの特性なのか。
近代文学期の匂いを感じる部分が、個人的にはあります。
最近の詩って、より前衛的に、奇抜に、情念的に、難解に……って走っている人が多い気がします。
(詩世界をちゃんと知っているわけではないんですが……)
その中で、日本人独特の余情感の漂う今詩が、私は好きです。
もっともっと書いていただきたいです。
はじまりと締めの言葉が大変うまいなあ、と思うので、そこに辿り着くフレーズたちにより必然性を感じられると、もっと良くなる気がします。
投稿者 沙香 : 2008年05月05日 09:09
ありがとうございます!
これは、イラスト担当の矢崎の絵が先にあって
それに詩をつける、という試みをしてみました。木箱とかそのまんまですが(笑)。
新美南吉や谷内六郎も好きなのでこういう
作品もどんどん書いていきたいです。
投稿者 クロオ : 2008年05月07日 22:58