エコー/黒尾博樹
破れかけた緑の
網にかかった
半分だけの海
退屈しのぎに雲は
流線形の声を投げる
削られたばかりの
鉛筆の森で
誰かを待つ看板
諦めた二人は
自転車のカゴの中で歌う
老婆の出した手紙の束の
小屋の屋根にとまった鳥が
見つめるテレヴィジョンも
きっと子供のころから
眠り続けている
錆びた硬貨で買ったパンの
零れたジャムは
もう砂の中
おかえり、
おかえり
投稿者 apollo : 2008年06月06日 01:20
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://apollo.s183.xrea.com/mt/mt-tb.cgi/79
コメント
「破れかけた緑の/網にかかった/半分だけの海」
今回も出だしのフレーズにグッとつかまれました。
湛えた哀しみと、それすら錆び付いていく感覚と…感じました。
そして絵がすごくマッチしていて!
素敵ですね。
投稿者 沙香 : 2008年06月12日 18:29
ありがとうございます!
これは、前回とは逆に僕の詩を元に矢崎が
イラストを描いてくれたものです。
いつも温かいお言葉をいただき、とても
嬉しいです^^
投稿者 黒尾博樹 : 2008年06月20日 22:22